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営業活動によるキャッシュフロー

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営業キャッシュフロー分析

営業活動によるキャッシュフロー

 『営業活動によるキャッシュフロー』では、会社本来の目的である営業活動(商品や役務の提供による収入・仕入や原材料による支出等)による資金の流れを把握することができ、営業活動によりどの程度の資金を獲得できるかを示しています。

 専門家の中には、財務諸表にある数値で真っ先に見るのがこの『営業活動によるキャッシュフロー』だと言う方も居るくらい重要な数値でもあります。これは損益計算書の利益(営業利益・経常利益等)は、合法的な範囲で会計操作等により金額を増減することが可能であり、実情を掴みにくい点もありますが、キャッシュフローの場合は、実際の手許現金ですので操作がし難いからです。

営業キャッシュフローがマイナスは危険信号

 『営業によるキャッシュフロー』は、企業が日々の営業活動から得たキャッシュの量であり、これは企業のキャッシュ創出能力といえ、キャッシュフロー計算書のなかで最も関心の集まる部分になります。営業キャッシュフローがプラスであってこそ設備投資等が行なえるのであって、マイナスならば何をするにも借入金に頼らざるを得ず、将来への設備投資はもちろん、現状を維持するための設備投資も満足に行なえない状況だといえます。
 従って、よい会社の第一条件としては、営業キャッシュフローがプラスになっていなければなりません。

営業キャッシュフローから粉飾を見抜く

 本来、利益と手元資金は近い数字であるはずですが、借入金・減価償却費等の理由で差異が生じてきます。また前述したように、損益計算書上の利益(営業利益・経常利益)は、会計操作により恣意的に利益を増やすことが可能でもあります。例えば、本来費用とすべき人件費を『ソフトウェア』や『研究開発費』などに含め、資産化する方法等が挙げられます。これは費用を資産化することで、費用を減らし利益を増やすのです。しかしこの場合利益は増えますが、手元資金は増えません。その点キャッシュフローは、損益計算書に比べ恣意的操作がし難いとも言えます。

 そこで、『営業利益』=『営業によるキャッシュフロー』の差額が大き過ぎないかを見ることは、粉飾の可能性をスクリーニングする判断のひとつにもなります。
 目安となる数値としては、営業キャッシュフローが営業利益の60~120%に収まっていればOK、それ以下もしくは以上ならばその原因を調べる必要があるかもしれません。

営業キャッシュフローを改善するには

 営業キャッシュフローには、『業績』を表す部分(純利益・減価償却費・役員賞与等)と、『取引条件』を表す部分(売上債権・棚卸資産・買入債務等)があります。『営業キャッシュフロー』を改善させるには、通常業績をアップすることが考えられますが、取引条件の改善によっても増加させることができるのです。取引条件では、代金は早く回収し、支払は信用を落とさない程度に延ばして支払うことでキャッシュフローは改善されます。

営業活動によるキャッシュフロー

 例えば、期首売上債権500で期末売上債権が300ならば200(500-300)、期首買入債務200で期末買入債務500ならば300(500-200)、結果合計で500の営業キャッシュフローが改善されたことになります。これにより、もし業績が変わらなくても支払条件を改善すればキャッシュを増やすことができます。逆に、たとえ業績がアップしても、支払条件が悪化していればキャッシュが減ってしまうこともあるのです。
 このように、営業キャッシュフローを改善する工夫として支払条件の見直しは重要な要素となります。

キャッシュ版の営業利益率

 損益計算書において営業利益率は、売上高に対してどのくらいの割合で本来の営業活動おける利益を得ているかを表していますが、これを利益ではなく、本来の営業活動でどのくらいの割合でキャッシュを得ているかを表しているのが、以下の割合になります。

 営業キャッシュ対売上高比率(%)=営業キャッシュフロー÷売上高

まめ知識

営業活動によるキャッシュフローの2つの表示方法

 営業によるキャッシュフローを表示する方法として2つあり、『直接法』と『間接法』になります。
 直接法は、キャッシュに影響するすべての取引を集計する方法で、入金総額から出金総額を引いて営業キャッシュフローを算出します。直接法のメリットとしては、キャッシュフローが総額で表示されますので、営業活動の規模がわかり、取引の全体がひと目でわかります。しかしその反面、連結決算の場合にはそれぞれの会社で営業キャッシュフローに関する基礎データを用意する必要があるので、実務的には非常に手間がかかり、また総額で表示するので集計に手間を要します。

 間接法は、『純利益』に『損益計算書の非キャッシュ項目(減価償却費等)』と『貸借対照表の残高調整』を加えたものです。間接法のメリットとしては、純利益と営業キャッシュフローの関係がよくわかることです。また、慣れ親しんだ損益計算書と貸借対照表から作成するので、対応しやすく手間もあまりかかりません。そのため、実務的には間接法が多くの企業で採用されています。

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