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株主代表訴訟(責任追及の訴え)

株主代表訴訟提起

株主代表訴訟提起の流れ

①株主からの請求
 株主代表訴訟は株主の提訴請求から始まります。6ヶ月前から継続して株式を有する株主は、取締役に対する責任追及の訴訟を提起するように、会社(監査役)に対して書面または電子メール等の電磁的方法により請求する。
②監査役の検討
 請求を受けた場合、監査役(委員会設置会社では監査委員)は、請求に従って、取締役の責任を追及すべきかどうかを調査し、実際に応じるかを決定します。
 期間は請求の日から60日以内です。この期間を『検討期間』といいます。

②監査役の検討』後として、次の三通りの対応があります。

③検討後の対応
1)取締役が責任を認めた場合
通常の責任追及の手順に従って、取締役に損害を賠償させる。
2)取締役が責任を認めなかった場合
会社自身が取締役を相手方として、損害を賠償するよう訴える。
3)会社が訴えを起こさない場合
【会社側】
提訴の告知を受けた場合には、公告と他の株主への通知を行なう。(非公開会社の場合は他の株主へのみ通知)
訴えられたら取締役を擁護する立場で参加できるだけでなく、場合によっては、原告として加わることもできる。
【株主側】
60日の検討期間内に会社が提訴しない場合、株主は株主代表訴訟を提起することができる。(ただし、60日の検討期間を待っていたのでは、会社に回復不可能の損害が生じてしまうという特別な事情があるときは、株主はこれを待つことなく、ただちに株主代表訴訟の提起ができるという堤外規定があります。)
会社に対しては不起訴と判断した理由の開示を請求できる。
他の株主は、訴えが提起されたことを知った場合に原告として訴訟に参加できる。

被告とされた場合

 被告となった取締役は、訴状などの送られてきた書類をもって、直ちに弁護士事務所へ行き、事件の受任を依頼する必要がありますが、この場合株主代表訴訟を提起された取締役は、株主代表訴訟が取締役個人に対して提起される訴訟であることから、原則として自らの費用で弁護士を雇って防衛する必要があります。

 ただし、取締役が訴訟した場合、相当の額を会社に請求できるとすべきであるとの学説があり、実務上も、会社役員賠償責任保険で填補されるのが普通です。

時効の期間

 退任しても、取締役に在任中の行為に関する責任は残っています。取締役の損害賠償責任は時効消滅しない限り、いつでも代表訴訟を起こされてその責任を追及される可能性はあります。

 また、取締役の賠償責任は相続されますので、取締役としての判断ミスが遺族に引き継がれる可能性もあるのです。死亡後であっても、その遺族を被告として訴えることさえできるのです。
 遺産を相続する場合、その遺産を相続する人は、資産だけでなく一切の債務も相続しなければならないからです。
 そこで、訴訟で敗訴するおそれがある場合には、遺族は限定承認するか相続を放棄するなどの対処方法をとっておくことも考えられます。

 取締役の会社に対する損害賠償責任については、損害発生のときから10年間というきわめて長いものです。(判例では、第三者に対する損害賠償責任の消滅時効期間についても、同様に10年と解しています。)

経営判断の原則

 最近は、取締役が日々数多くの経営判断を行なう中、その判断の適正さに疑問が呈されると、すかさず代表訴訟が提起される時代ですので、取締役は、経営判断義務をきちんと果たし、いかなる責任追及にも耐えられるようにする必要があります。

 以下のポイント(『経営判断の原則』)をクリアしていることで、たとえその経営判断が結果的に会社に損失をもたらしたとしても、取締役の注意義務違反はないと考えられます。(多数の判例で採用され、判例理論として確立されています)

経営判断の前提となった事実の認識について不注意な誤りがなかったこと
その事実認識に基づく意思決定過程が著しく不合理ではなかったこと
判断内容が著しく不合理ではなかったこと

役員賠償責任保険(D&O保険)

 万が一に備えて、『会社役員損害賠償責任保険(D&O保険)』に加入しておくことも一法です。ただしほとんどの保険では、犯罪行為を知りながら法令違反を犯した場合などは、保険対象から外されています。

 填補される対象としては、以下のものがあげられます。

取締役が会社以外の第三者に対して負う、賠償責任およびその争訟費用
会社からの賠償請求に対し取締役が勝訴した場合の争訟費用
会社からの賠償請求および代表訴訟に対し取締役が敗訴した場合の賠償責任および争訟費用(要特約)

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株主代表訴訟(責任追及の訴え)

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